「すた丼」店長と熱い「すた丼」愛を分かち合ってきた
押忍!
今回のテーマは「食物」。ならば、あれしかない。すたみな丼、通称「すた丼」だ。塾講師をしていた10数年前に出会い、ずいぶん通い詰めた究極の一品。A級でもB級でもないO(男)級グルメである。
「すた丼」の店といえば客が男ばかり。厨房内も殺気立っており、なんというか飲食店というよりは戦場に近いイメージ。しかし、それがまたいいのだ。
高円寺に引っ越してからはとんとご無沙汰なので、これを機に「すた丼」愛を再確認したい。お相手はなんと国分寺店の店長。熱い「すた丼」談義をご高覧ください。
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いざ、国分寺店へ
国分寺は新宿から電車で約20分、周囲に大学が集まる学生街だ。「すた丼の店」1号店は36年前に先代の社長がオープンした「サッポロラーメン国立店」。今では東京の多摩エリアをはじめ、都内全域に16店舗を展開している。
イヤッホー
この国分寺店は塾講師時代の同僚、小林君としょっちゅう食べに来た。彼はなぜか正座ができない男だった。今、オーストラリアで黒曜石の研究をしています。
店内の様子
午後2時という中途半端な時間帯だったが、店内の席は半分以上埋まっていた。緊張しつつ店長の橋本章太さんに挨拶。「よろしくお願いします」「あ、こちらこそ」。
年齢を聞くと22歳だという。若い。22歳といえば僕が居酒屋のバイトをしていた頃だ。店長によく前借りを頼んでイヤな顔をされていた頃だ。
すた丼チェーン最年少の店長、橋本さん
当時は暴走族や不良のたまり場でした
ーー働き始めるきっかけは何だったんですか?
「6年前にバイトで小金井前原店に入ったんですよ。面接ですか? 持参した履歴書はろくに見ないで『彼女いるの?』とかそういう質問ばかりでしたね」
ーーじゃあ、わりとすんなり採用されて
「最後に『いつからできる?』って聞かれたので『いつでもできます』と答えたら、『じゃあ今からやれ』って(笑)。『それはちょっと…』と言ったら、何だかわからないけどものすごい怒られました」
笑顔は柔らいが眼光は鋭い
ーーすた丼の店は超体育会系というイメージがあります
「僕が入った頃はすごかったですよ。量が多くて安かったせいか、腹を空かせた暴走族や不良のたまり場みたいになってて。店員もワルい人が多くて『文句あるなら食うな!』みたいなかんじ。今は接客もちゃんとしてて、当時と比べたら別の店みたいです」
ーー橋本さんも悪かったんですか?
「あはは、まあそうですね。もともと学校や先生が嫌いだったんで、最初は厳しい上下関係とかイヤだなあと思って働いてたんですが、怖いから逆らえない。でも、だんだん打ち解けてきて飲みに連れて行ってもらったりしているうちに、いつの間にか『すた丼スピリット』を叩き込まれていました」
店長直々に作ってくれることに
さて、そろそろ食べよう。「すた丼」(580円)と「すた丼大盛」(830円)をオーダー。橋本店長が直々に作ってくれるという。
中華鍋を強火で熱し、油通ししてやわらかくした豚バラ肉を特製のニンニク醤油ダレでネギといっしょに一気に炒める。それを豪快にご飯の上に乗せれば「スタ丼」の完成だ。
肉を油に通す橋本店長
「無理だったら手伝うから」という約束で大盛は撮影担当の平井君が食べることに。ちなみに普通盛でも米の量が450gある。大盛は1kg、約4合なのだ。もちろん、その上に肉が乗る。
そうこうしているうちに、すた丼が運ばれてきた。
普通盛と大盛の比較、ドーン!
いただきます!
赤いのは「ご自由にお取り下さい」の豆板醤
肉の柔らかさ、ニンニクの風味。これだ。舌が、鼻が、全部おぼえている。付け合わせの生卵とのハーモニー、ひっそりと佇むたくあんの存在感もたまらない。
平井君も食べる
ところで、僕は家で何度も挑戦しているのだが、この味がどうしても出せない。橋本さんに聞くと、「うちには他にもいろんなメニューがあるんですが、その中でもすた丼は手順が一番簡単。作り方は創業当時から変わってませんから。でも、作るのは一番難しいです」とのこと。
同じように作っても人によって微妙に味が違うんだという。ちなみに、特製の醤油ダレは門外不出の秘伝。そのレシピは橋本さんですら知らない。知っているのは古株社員の数人のみだそうだ。
ごちそうさまでした!
大盛の牙城はやはり高く険しい。最後は僕もちょっと手伝いながら30分以上かかって完食した。飲食というよりはもはやスポーツに近い。そして、我々は男になった。
店を出ると死にそうな顔をした平井君が「あとでメロンを食べたい」というので、駅前のスーパーで500円のアールスメロンを買ってあげた。
一橋大学学園祭では「スタ丼早食い競争」も
なお、国立にある一橋大学の学園祭では毎年「スタ丼早食い競争」がおこなわれている。最寄りの国立東店から届けられたすた丼(普通盛り)をいかに早く食べ終えるかを競うものだ。
昨年の大会の様子(写真提供:一橋祭運営委員会)
「毎年4、50人が参加します。昨年の優勝者は39秒で完食した応援団の男子学生でした。あり得ないタイムですよね(笑)」(一橋祭運営委員会副委員長・高島和弘さん)
国立東店(写真提供:株式会社アントワークス)
ちなみに、今年の一橋祭は11月1、2、3日。早食い競争は1日の午前中に行われる。飛び入りもOKだそうなので、興味のある方はぜひ!
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[まとめ]
先代から社長の座を譲り受けた現社長(44歳)は、2年前の雑誌インタビューで「50歳までに全国制覇したい。北海道から沖縄まで計100店を出店することが目標」と語っている。一方で、橋本店長は「『すた丼』36年間の伝統を変えずに守っていきたい」と言っていた。
すた丼よ、永遠なれ。そして、ごちそうさま。
スタッフTシャツの背中にプリントされた檄文
〈取材協力〉
株式会社アントワークス(http://www.antoworks.com/)
一橋祭運営委員会(http://www.ikkyosai.com/)
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- 「すた丼」店長と熱い「すた丼」愛を分かち合ってきた(2008.09.18)